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国内の高効率モータの制度



モータの高効率化に関する国内制度は、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)が深く関係しています。
省エネ法では、製品分野ごとに最もエネルギー効率が高い製品の性能を目標とする「トップランナー制度」が設けられています。
本ページではモータに関連する制度情報について、「トップランナー制度」を中心に解説します。

1.省エネ法とは

「省エネ法」は石油危機をきっかけとして、1979年(昭和54年)に制定されました。その後社会環境の変化に伴い、随時改正されています。
1998年には温暖化・環境保護の視点から、エネルギー消費量が大きく増加している業務・家庭部門において、設備機器の省エネ性能向上の対策が強化されました。
近年は東日本大震災時に電力需給が逼迫した経験から、消費電力の削減だけでなく電力需給のバランスを意識したエネルギー管理が求められています。

2.トップランナー制度とは

機器のエネルギー消費効率の基準は、以下の3つの方式で決められています。

  • 最低基準値方式:(MEPS = Minimum Energy Performance Standard)
  • 対象となる機器の全ての製品が超えるべき最低の基準値を定め、達成できない場合はその製品が出荷できなくなる等の措置が取られます。一見分かり易い方法ですが、全ての製品が超えるべき値を設定するには経済妥当性について評価を十分に行わねばなりません。この方式は論理的な手法ではありますが、基準値の決定には長期間を要すため、省エネ効果の実現までに時間がかかります。

  • 平均基準値方式:
  • 対象となる機器の平均値が基準を満たすことを目標としています。省エネの目標値は、製造事業者からの情報に基いて任意に決めたもので、省エネ法設立時に取り入れた方式です。この方式では、目標年度に対象とする機器等が製造事業者ごと、区分ごとの出荷台数の加重平均で達成すれば良く、省エネ性能よりも経済合理性が優先される傾向が強いとも言えます。従って、この方式は製造事業者等の目標基準値としては機能しますが、省エネ効果に強い影響力があるとは言えません。

  • 最高基準値方式(トップランナー制度):
  • 基準値策定時点で最も高い効率の機器の値を上回ることを目標とした方式が「最高基準値方式 (トップランナー制度)」です。省エネルギーへの期待と役割が大きくなるにつれて、環境基準をより厳格にし、省エネ効果を高める狙いで発案されました。
    トップランナー制度は、経産省資源エネルギー庁や環境省も削減を目指す、生産量・消費量等に対する二酸化炭素の排出量に関係するCO2排出係数等の数値等が用いられます。基準値を定める段階において、市場に存在する商品で最も省エネ効率の高いものの数値を参考に、将来の技術革新を見込んだ数値を算定します。
    この方式は高い基準値が定められますので、製造事業者がよりエネルギー効率の高い機器を開発するインセンティブに直結します。基準値達成には、技術革新のための開発努力が伴うため、開発費や発売後に見込める売上等を鑑み、適切な基準値を定めることがカギとなります。

1998年6月に省エネ法が改正され、機器等のエネルギー消費効率基準の策定方法にトップランナー方式を採用した「トップランナー制度」が導入されました。

3.特定機器とは

トップランナー制度では対象となる製品を「特定機器」として指定しています。特定機器の選定基準は、下記の3つが基本になります。

  • 日本で大量に使用されるもの。
  • 使用時に相当量のエネルギー消費があるもの。
  • その機械器具に係わるエネルギー消費性能の向上を図ることが重要であるもの。

平成29年4月現在、以下の32品目が特定機器として指定されています。

乗用自動車 エアコンディショナー 照明器具 テレビジョン受信機 複写機
電子計算機 磁気ディスク装置 貨物自動車 ビデオテープレコーダ 電気冷蔵庫
電機冷凍庫 ストーブ ガス調理機器 カス温水機器 石油温水機器
電気便座 自動販売機 変圧器 ジャー炊飯器 電子レンジ
DVDレコーダー スイッチング機器 ルーティング機器 複合機器 プリンター
電気温水器期
(ヒートポンプ式給湯器)
三相誘導電動機 電球型LEDランプ 断熱材 サッシ
複層ガラス ショーケース

4.トップランナーモータの対象範囲

上記32品目の内、自動車や家電などモータを組み込んだ製品については、モータ単体では規制されていませんが、省エネ基準を達成をするためにはモータの高効率化が重要な要素です。このようなモータの高効率化については「小型の高効率モータ」で説明をしています。
主に産業分野で幅広く利用されている三相誘導電動機の一部は、モータ単体でトップランナー規制がされています。
下記は「トップランナーモータ」として規定されている三相誘導電動機の条件です。これらは日本国内で製造されているもの、海外から輸入されたものに関わらず適用されます。

(1)定格周波数又は基底周波数が50Hz±5%のもの、60Hz±5%のもの、又は50Hz±5%及び60Hz±5%共用のもの
(2)単一速度のもの
(3)定格電圧が1000V以下のもの
(4)定格出力が0.75kW以上375kW以下のもの
(5)極数が2極、4極又は6極のもの
(6)使用の種類が以下の(ア)又は(イ)の条件に該当するもの
  (ア)電動機が熱的平衡に達する時間以上に一定負荷で連続して運転する連続使用(記号:S1)のもの
  (イ)電動機が熱的平衡に達する時間より短く、かつ、一定な負荷の運転期間及び停止期間を一周期として、
    反復する使用(記号:S3)で一周期の運転時間が80%以上の負荷時間率をもつもの
(7)商用電源で駆動するもの

トップランナーモータの制度は、日本電機工業会(JEMA)により、2015年度を目標年度として、目標基準値が定められました。目標年度とは、機器の製造事業者、輸入事業者が特定機器について、目標基準値を達成すべき年度、すなわち規制が開始する年度を指します。 また、目標基準値は、JIS C 4034-30:2011 単一速度三相誘導電動機の効率クラス(IEコード)のプレミアム効率(IE3)に相当となっています。

5.国際規格との関連について

モータの効率クラスは、国際電気標準会議(IEC)や日本工業規格(JIS)の規格に準拠しています。

5.モータの効率クラスの規格について

モータの効率については、国際電気標準会議で規定されています。
国際電気標準会議については「海外の高効率モータの制度について」で解説しています。
日本国内は、日本工業規格JIS C 4034-30にて規定されています。これは国際規格であるIEC60034−30に準拠しています。
モータの効率基準値は、下記4つの効率クラスに分類されています。

  • IE1:標準効率
  • IE2:高効率
  • IE3:プレミアム効率
  • IE4:スーパープレミアム効率(参考レベル)

6.高効率モータの設計について

高効率モータの設計にあたっては、トップランナー制度の元、モータ単体で指定されている「トップランナーモータ」を使用する場合と、モータ単体では指定されていないが、特定機器に求められる性能を実現する場合で、設計や設置の検討事項が異なります。

6-1.トップランナーモータを利用する場合

トップランナー制度に関わる産業用モータの場合は、トップランナーモータに置き換えることでモータ単体の高効率化が狙えます。
生産設備の更新などで、これまで使用していた標準的な効率のモータをトップランナーモータに置き換える際には、下記の点に注意する必要があります。

  • モータの寸法が大型化する場合がある。
  • モータの定格回転速度がより高くなる傾向にある。
  • 始動電流が大きくなる傾向にある。
  • 力率が低下する。

6-2.トップランナー機器に指定された特定機器にモータを組み込む場合

トップランナー制度で指定されていない小型モータに高効率を要求する場合、一般にDCブラシレスモータが使われます。また、モータ単体だけでなく、システムとして、装置全体の設計、インバータ制御方法などを検討することもエネルギー効率の向上に重要なポイントとなります。
小型高効率モータについては、「小型の高効率モータ」のページにて設計ポイントを掲載しています。
私たちシナノケンシは小型モータの高効率化について、ご質問、ご相談を承っています。詳しくは「シナノケンシの高効率モータ」をご覧ください。

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