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製品・技術/Motor

HBステップモータ(ステッピングモータ)(ハイブリッドステップモータ)


HBステップモータ(ステッピングモータ)

技術面の特徴

入力パルスに応じて一定角度ずつ回転し、非通電時はその位置を保持するHBステップモータ(ステッピングモータ)は、オープンループでの位置制御、回転角制御が可能であるため、制御するマイコンの負担を軽くします。また、過負荷時は脱調するため、相手の部品に過度の機械的ストレスを掛けません。HBステップモータ(ステッピングモータ)の特徴をそのままに、さらなる高トルク化、低騒音、低振動の製品開発に取り組んでいます。
また、上記特徴をさらに生かす、電源や制御回路、ギアとのユニット化、モジュール化にも取り組んでいます。

代表用途例

複写機、プリンター、ファックス、医療機、計測器、ATM、自動車、バイク、産業機器、他

ご提案:標準品モータ(Plexmotion)

標準品HBステップモータ(ステッピングモータ) も販売しております。
詳しくは専用サイトをご覧ください。
http://www.plexmotion.com/

お問い合わせ

ハイブリッドステップモータ(2相)について

  1. ステップモータの型式番号
  2. 標準結線とリード線の色別
  3. 標準試験回路
  4. ステップモータの特徴
  5. ステップモータの構造
  6. ステップモータの動作原理
  7. ステップモータの特性と用語
  8. 駆動方法
  9. ステップモータの選定と負荷計算

1. ステップモータの型式番号

弊社のステップモータの型番は次により区分されています。

ステップモータの型式番号

2. 標準結線とリード線の色別

標準結線とリード線の色別

3. 標準試験回路

標準試験回路

4. ステップモータの特徴

  • 回転角度は入力パルス数に比例します。入力パルスが無い状態では停止位置を保持します。
  • 回転速度は入力パルスの周波数に比例します。デジタル信号による制御が容易です。
  • オープンループ制御による同期運転が可能です。
  • 起動、停止の応答性が良好です。
  • 角度誤差が小さく、誤差が累積しません。
  • 低速高トルクを減速機無しで実現できます。
  • 摺動部がないため長寿命です。
  • 両方向に回転します。
  • 脱調時にモータへのダメージがありません。

これらの特徴により下記のような製品に利用されています。
正確な位置決めが必要な、X-Yテーブル、プロッター、プリンタ、スキャナー、ファックス、カードリーダ、コピー機、医療ポンプ、産業ロボット、バルブ他

5. ステップモータの構造

ステップモータには、可変リラクタンス型(VR)、永久磁石型(PM)、複合型(HB)と3つのタイプがあります。弊社では、高分解能、高精度、高トルクを追求するためHB型のステップモータを採用しています。

ステップモータの構造

6. ステップモータの動作原理

ステップ角1.8°、2相ユニポーラタイプの動作を説明します。固定子には8つの磁極が45°間隔で配置され、各磁極には5つの歯が7.2°間隔で配置されています。
そして各磁極にはFig.6-1のようにコイルが巻かれています。

コイルにTable.6-1のような電流を流すと、固定子にはFig.6-2のように回転磁界が発生します。

  • Fig.6-1 Stator
  • Table6-1 励磁パターン(1相励磁)

Fig.6-2 励磁相切り替えによる回転磁界

回転子は、50個の歯を持つ2個の回転子鉄心とマグネットから構成され、回転子鉄心は図5-2のように互いに半ピッチずらして組立てられています。
固定子の励磁相を切り替えたときの回転子の動きを図6-3に示します。

  1. ステップ1
    A相が励磁されることにより、回転子鉄心のS極の側の歯は固定子の磁極1.5の歯と向い合い、N極側の歯は固定子の磁極3.7の歯と向い合い、それぞれSとNが引き付け合って安定します。
    この時、固定子の磁極2.6に対して回転子のS極側の歯と磁極4.8の歯に対して回転子のN極側の歯は1/4ピッチ(1.8°)位相が遅れています。
  2. ステップ2
    B相に励磁を切り換えます。
    この励磁状態での安定点は、固定子の磁極2.6と4.8の歯が回転子の歯と向い合う状態なので、B相の励磁により回転子は1/4ピッチ(1.8°)回転して安定します。
  3. 以後、励磁相を切り換えるたびに、回転子は1/4ピッチづつ回転して行きます。

Fig.6-3 1相励磁駆動

7. ステップモータの特性と用語

  1. ホールディングトルク
    モータを定格電流で励磁した状態で出力軸に外部よりトルクを加え、角度変位を与えた時に発生する最大トルク。
    最大静止トルクとも呼ばれています。
  2. ディテントトルク
    モータ無通電(無励磁)で各リード端子を開放し、出力軸に外部よりトルクを加え、角度変位を与えたときに発生する最大トルク。残留トルクとも呼ばれています。
  3. 周波数-トルク特性曲線
    周波数-トルク特性曲線は駆動周波数とモータのトルクの関係を表わす曲線です。
    ステップモータの特性は、駆動回路、励磁方式、測定系の負荷により変化するため、周波数-トルク特性はこれらの試験条件を考慮して評価する必要があります。
  • Fig.7-1 周波数-トルク特性曲線
  • Fig.7-2 角度精度
  1. 最大連続応答周波数
    無負荷の状態で徐々に励磁の周波数を上げたとき、モータが同期を保って回転することのできる最大周波数。
  2. 自起動領域
    一定の負荷を掛けたとき、周波数に同期して起動、停止、逆転が可能な領域。
  3. 最大自起動周波数
    無負荷の状態で、入力信号に同期して、起動、停止、逆転が可能な最大周波数。
  4. 脱出トルク
    自起動領域内で起動し、徐々に周波数を増加させたとき同期を保って回転することのできる最大トルク
  5. 引込みトルク
    周波数に同期して、モータが起動、停止、逆転できる最大のトルク。
  6. スルー領域
    自起動領域で起動し、徐々に周波数または負荷トルクを増加させたとき、モータが周波数に対して同期を保って回転することのできる領域。
  7. 角度誤差
    理論静止位置と実際の静止位置との差です。

    通常、ステップモータの角度精度は静止角度誤差により規定され単位ステップ角の±3%~5%以内が一般的。
  8. ヒステリシス誤差
    正回転時と逆回転時における各ステップの静止位置の角度誤差の最大値。
  9. 共振
    ステップモータは駆動パルスが入力される毎にステップ回転を繰り返して回転するため振動が発生します。特に回転系の固有振動数と駆動周波数が一致すると共振現象が発生し、振動が大きくなったり、脱調によるモータ停止、ミスステップあるいは逆回転が発生します。この共振周波数は通常100~200Hz付近にあるため、駆動設計には、この周波数領域を避けていただく事が必要です。尚この共振問題をロールダンパーの使用等で解決する事も可能です。

8. 駆動方法

8-1. 出力段

  1. 駆動回路
    ステップモータの駆動回路は、入力パルス信号を相切換信号に変換する分配回路とモータを駆動する出力段に分けられますが、出力段の回路構成はモータの周波数-トルク特性を大きく左右するため、モータと駆動回路出力段は一体で考える必要があります。
    代表的な出力段をFig.8-1に示します。
  2. 抑制回路
    ステップモータで励磁相を切り換えた場合、モータ巻線には逆起電力が発生し、出力段のパワー素子にも架かります。この逆起電力は巻線インダクタンスやスイッチング特性により変化し、パワー素子の耐圧の最大定格を超えることもあります。
    そこで逆起電力を抑えるために抑制回路が使用されます。逆起電力により抑制回路に流れる電流はモータの回転子の動きを遅らせる作用をするため、抑制回路はモータの振動、騒音を下げるダンパー回路としての効果をもちます。同時に、抑制回路は高速領域のトルク特性を低下させるので、ダンピング特性とスイッチング素子の耐圧、及び周波数-トルク特性をお互いに考慮して選定する必要があります。
    例:
    • ダイオード方式【Fig.8-1(a)】
    • ダイオード+抵抗方式【Fig.8-1(b)】
    • ダイオード+ツェナーダイオード方式【Fig.8-1(c)】
    • コンデンサー方式【Fig.8-1(d)】

  1. 高速応答性の改善
    ステップモータでは、コイルのインダクタンスにより、コイルに流れる電流は電圧を印加してもすぐに立ちあがらず、巻線の抵抗RとインダクタンスLで決定される。時定数=L/R このため駆動周波数が高くなると電流が減少し、高速領域におけるトルクも低下します。
    高速応答性を改善するため、
    1. モータの巻線に直列に抵抗を挿入して時定数を小さくし、電源電圧を高くして電流の低下を抑える。〔Fig.8-2(2)〕
    2. 電源電圧を上げる。〔Fig8-2(3)〕
      この場合、電源電圧の印加時間を制御して平均電流を下げるか、運転時間を短時間に制限することによりモータ巻線の温度上昇を定格内に抑えることが必要になります。
    例)
    • 2電流方式〔Fig.8-1(f)〕
    • 定電流チョッパー方式〔Fig.8-1(g)〕

8-2.励磁方式

Table8-1 励磁方式と特徴

8-3.バイポーラ方式とユニポーラ方式

ステップモータには、コイルに流す電流の方向によりバイポーラ方式とユニポーラ方式があります。
弊社のステップモータには、2相のバイポーラ巻き線と4相のユニポーラ巻き線の2種類があります。

  1. バイポーラ方式
    2相のバイポーラには2つの独立したコイルがあり、各コイルには両方向の電流が流れます。〔Fig.8-3〕
    但し、上下のトランジスタに同時に電流が流れないように回路を設計する必要があります。適切に操作すれば、バイポーラ方式は標準ステップ角に対して低電流にて機能します。
  2. ユニポーラ方式
    4相のユニポーラには4つの独立したコイルがあり、各コイルには1方向のみ電流が流れます。
    ユニポーラ方式の採用により、駆動回路は簡素化が可能となります。
    バイポーラ方式と比較してスイッチングのための電流が1/2で済み、上下トランジスタ間での電流ショートを防止する必要がありません。トルク特性は低速駆動域にて約30%低くなります。しかし、高速駆動域でのトルク出力は同等です。

バイポーラ方式とユニポーラ方式

9. ステップモータの選定と負荷計算

ステップモータを選定するには以下の明確化が必要です。

  1. 負荷条件
    • 負荷イナーシャ
    • 摩擦負荷
  2. 駆動条件
    • 駆動回路
    • 最高周波数
    • 加減速パターン

上記条件から負荷トルクを算出し、各モータの周波数-トルク特性、ホールディングトルク等と比較して、モータを選定します。